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  • 2017.01.08 Sunday
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二十三 エピローグ

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■ 二十三 エピローグ
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 ―パールで、一ヶ月も過ごしたというのに、もとの世界に戻ったら、あのコスプレパーティー会場では、時間の経過などなく、宴会の続きが行われていた。
 三人の仲間は、宇宙の壷のある部屋を抜け出し、薄汚れた服を自分たちの服に着替えるため、衣裳部屋に行った。
 それから、その屋敷を出た無口な三人は、自分たちの世界の町並みを、ぶらぶらと歩いた。
「明日は、葉月と図師のラブシーンの練習だな」
 と、サツキは言った。
 葉月は、髪の毛をかき分けて、
「ソレージュは、ほんとに図師にそっくりだった……」
 たった、それだけで、
 みんな各自物思いにふけっているのか、疲れているのか、黙ってしまった。
 ―翌日。
 誰もパール国での思い出を語ろうとしなかった。
 図師は、三人の様子がいつもの活気にあふれていないのを察して、
「えらく冷めちゃって、ラブシーンのとこは、俺は、東大寺先生に全責任ある、と思ってんだが? だいぶカットされたけどね」
「だいじょうぶ。緊張してるだけ」
 そう言って、部長のサツキは大声で、みんなに聞こえるように、
「今から、戦いの前夜、ルズとアランのシーン行きます。ビデオの係りはスタンバイいいですか?」
「オーケーです!」
 その声にせかされて、ルズ役の葉月とアラン役の図師は舞台に駆けあがる。
 下はジャージその上に白いTシャツのふたりは、舞台上で軽くストレッチ体操をした。なんせ、とにもかくにも、観客を魅了するロマンチックな場面を演じなければらない。
 若いふたりのエネルギーは充電完了だった。

  いよいよ、
 銃士であり男装の麗人レディ・ルズは女性として、
 従僕アランは、幼いころからルズを慕い恋焦がれ果てた男性として、
 今夜、ルズとアランは結ばれるのだ……

 ―カエデが色づきました。ルズ、見てごらんなさい。ほら、紅が夕日に映えてすばらしい。
 ―散る前の、最後の輝きというものだろうか。
 ―ゆっくりと……
 ―確実に……
 ―光を放って。ルズ、わたしの体中の血液が猛烈にダッシュしはじめてます。
 ―赤く熱い血潮か……。今まで何人の者を、わたしはこの手で殺してきたことか。明日は決戦……
 ―ルズ、あなたは銃士隊の隊長ですから……。ああ、今はそんな話はやめましょう。
 ―わかったよ、アラン。あまく……
 ―せつなく……
 ―揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。
 ―愛が目ざめたい思うときまでは? わたしは、ルズ、長い間待ち続けました。いろんな妄想に悩まされつづけて。
 ―恋におちいるという気持ちは、いったいどのようなものなのだ? 言ってみろ! アラン
 ―ルズ様、そのように、おっしゃって、わたしを遠ざけてしまう、おつもりですね。
 ―女として生きることを否定され続けてきたのだ。
 ―わたしの目には、ずっと、あなたの女性らしさが見えていました。
 ―アラン、力強く
 ―おおきなちからを
 ―今うけとめればよいのか。
 ―ペリカンの願い泉にコインを投げましょう。
 ―そうすれば、恋の願いがかなうという。
 ―白猫の願い靴下を窓につりさげましょう。
 ―恋人は、どこにも行かず、とどまってくれるという。
 ―もう、なにもいわないで……
 ―ゆっくりと
 ―あまく
 ―せつなく
 ―クックロビンが涙する。
 ―ペリカンも白猫も……なにをいいたいのか、アラン、分からなく……頭の芯が……
 ―さあ、ルズ、その口を閉じてしまいましょう。
 ―アラン……

 そして、口づける葉月と図師。

 立ちあがった弥生は、涙をはらはらと流しながら拍手して、
「サツキ、人を好きになるということは、分かったような気がするよ」
「ソレージュのこと?」
「ちがうよ。うんと、正直いうと疑似体験したかも」
「葉月のことをまだ思ってるの?」
「わかんない。アランのように、待ち続けるというのも大切なんだけど」
「葉月はルズそのものだよ。真剣、なりきってた……女だね」
「うん。美しい恋物語がある限り、すっごく気持ちが落ちつくじゃん!」
「ほんとね」
「そのことが、よく分かった!」
「そう? あとで携帯に画像送るよ」
 と言い、弥生が明るくなってくれたので、サツキも笑顔を取り戻した。

 ―サツキが弥生と葉月に画像を送ったのはパールの世界でとったものだった。
 それは、第三の青銅の扉の飾り文字だった。

 YO! YO!
 扉を悩殺し開けてみよ!
 ここで関所は終了よ。
 戻りたくばマウント・バレーショ。
 よよよよよよ! と泣くがよ!
 い!


                               おわり

あとがき

 最後まで、読んでくださりありがとうございました。<(_ _)> なんだか気恥ずかしくて、読み返すことができなかったわたしです。(>_<) 何人かの知人に、印刷したものを読んでもらい、感想いただきました。

 ブログで、これを読んだ方は、おられるかしら・・? コメントなどいただけると幸せです。




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